3Dプリンター3Dプリンタノズルの摩耗によるリスクと摩耗防止のための選び方

3Dプリンタの導入を検討していたり、情報を集めていたりする方に向けてノズルの選び方について解説する記事です。

3Dプリンタを利用していると、意外とノズルに関するトラブルは多いもの。
たとえばノズル形状による選び方がわからない、先端に樹脂の塊ができる、フィラメントが詰まってしまった…というものを挙げることができます。
その中でも多いのが、ノズルがすぐに摩耗してしまうという問題です。

そこで今回の記事では、3Dプリンタのノズルが摩耗するリスクと摩耗しにくいものを選ぶ方法について解説していきます。
記事を読んでいただければ、3Dプリンタのフィラメントに合わせてノズルを選ぶ方法についてや、摩耗を防ぐ方法をご理解いただけるはずです。

3Dプリンタのフィラメントによく用いられる材料

それではまず、3Dプリンタのフィラメントに頻繁に用いられる材料について見ていきましょう。

【3Dプリンタの代表的なフィラメント材料】
  • カーボンファイバー
  • グラスファイバー
  • 金属粉
  • 木粉
  • セラミック粉
  • 中空ガラスビーズ

よく用いられるフィラメントの材料は上記のとおりですが、それぞれ特徴が違います。
たとえばカーボンファイバーやグラスファイバー、セラミック粉であれば強度を高めるために用いられます。
しかし外観の品質を高めるためには、金属粉・木粉が使われることが多いようです。
軽量化を求める場合には中空ガラスビーズが適しているでしょう。

以上のように、それぞれの特徴に応じて6種類の代表的なフィラメント材料が用いられています。

ノズルが摩耗することで懸念されるリスク

ノズルが摩耗すると、次のような2つのリスクが懸念されます。

リスク1:ベッドの定着悪化

ノズルが摩耗することによる最大のリスクは、ベッドに定着しにくくなることです。
ベッドへの定着が悪化するのは、ノズルとスライサの設定が合わなくなってくることに起因します。
ベッドへの定着が悪くなるとプリントしている最中にモデルが動いてしまい、失敗作が出来上がることに…。
特にFDM方式の3Dプリンタではベッドへの定着悪化が起こりやすいので、ノズルの摩耗具合を定期的に確認する必要があるでしょう。

リスク2:プリント品質の低下

プリントの品質が下がってくることも、ノズル摩耗で起こるリスクのひとつです。
プリント品質の低下も、ベッド定着悪化と同じくノズルとスライサが合わなくなることに起因します。
ベッド定着の悪化に加えプリントの品質も低下するため、完成品の精度は否が応でも下がってしまいます。
ノズルが摩耗するとプリント品質の低下により作品の完成度が低くなるため、フィラメントにあわせて選ぶことが大切です。

フィラメントに合わせたノズルの選び方

それではフィラメントに合わせてノズルを選ぶ方法について、3つのポイントから見ていきましょう。

選び方1:フィラメントの硬さに合わせて選択

フィラメントの硬さに合わせて選ぶようにしてください。
材質により耐摩耗性は変わるので、硬さのある材質でできたフィラメントには硬度の高いノズルを使う必要があるからです。

たとえば硬度の高いカーボンファイバーのフィラメントであれば、硬度の高いルビー製やサファイア製のものを使うのがおすすめです。
まずはフィラメントの硬さや強度にあわせて、摩耗に耐えられる素材で作られたものを選ぶことを基本としましょう。

選び方2:プリントする頻度に合わせて選択

プリントする頻度に合わせて選ぶことも大切です。
硬度の高いノズルは耐摩耗性がありますが、耐摩耗性のあるものは比例して価格も高くなります。
そのため単純に「硬度の高いものを選べば良い」とは言えません。

たとえばカーボンファイバー製のフィラメントを用いて、年に1回プリントする場合と、1週間に1回プリントする場合で考えてみます。
カーボンファイバーやグラスファイバーのフィラメントを用いて、頻繁にプリントするのであればルビー製ノズルが適するでしょう。

しかし年に1回しか使わない3Dプリンタで、最も硬度と価格が高いルビー製ノズルを使うのは少々勿体ないです。
プリントする頻度が低ければ、耐摩耗性がそれほど高くなく、価格が手頃なノズルを頻度高く交換したほうがコストが低くなります。

ノズルはフィラメントに合わせて選ぶことが基本ですが、加えて頻度も考慮すると最適なものが選べるはずです。
ノズル選びはフィラメントの素材とコスト、そしてプリントする頻度のバランスが重要となります。

選び方3:耐摩耗性の高いノズル

それでは耐摩耗性の高いノズルとは、一体どのようなものなのか見ていきましょう。
フィラメントに合わせたノズル選びをするには、材質ごとの硬さについて知っておく必要があります。
ノズルは、次のように材質により硬さが変わります。

【ノズルの硬度】
  • ルビー・サファイア製ノズル:2400
  • 焼入れ鋼製ノズル:約750
  • ステンレス製ノズル:200~370
  • 真鍮製ノズル:80~150

硬度が高いほど硬く、硬いフィラメントでも摩耗しにくくなります。
上記以外にメッキ加工が施されたノズルもあります。
しかしメッキが薄いとすぐに削れ、土台となっている材料の硬度に左右されることになるのでメッキ製ノズルは選び方に注意してください。

もちろん硬度以外にもノズルの摩耗度に影響を及ぼすポイントはあります。
消耗品ですので、ルビー製であっても3Dプリンタを使用するたびに摩耗していくはずです。 しかし一般的には、硬度の高い材質で作られたノズルのほうが摩耗しにくくなるとされています。

3Dプリンタで起きがちな失敗

ここまではノズルが摩耗することによるリスクを紹介してきましたが、実際に3Dプリンターを使用しているとそれ以外にも起こりがちな失敗はあります。

コチラのの記事では、そんな3Dプリンターで起こりがちな失敗を解説していますので、是非ご覧ください。

素材を考慮したノズル選びが大切

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで3Dプリンタのノズル選びのポイントがご理解いただけたと思います。
ノズルを長持ちさせるためには、フィラメント材料の素材を考慮して選ぶことが大切です。

フュージョンテクノロジーでは、高性能機種やリーズナブルなものまで、さまざまな3Dプリンターをご用意しています。
3Dプリンターについてのご相談はぜひ株式会社フュージョンテクノロジーまでお寄せください。