3Dスキャナ3Dスキャナーとは。接触型と非接触型の特徴や違い

近年では目覚ましいテクノロジーの発展によって、様々な情報を短期間で取得することができるようになっています。

そして3Dプリンターが普及し始めている中で、3D情報を取得する方法の需要も高まっているといえるでしょう。

そんな中で大きな注目を集めているのが、3Dスキャナーです。 3Dスキャナーを活用することで、製造業や医療、建設業など幅広い分野における進展が見込めるでしょう。

この記事では、3Dスキャナーの原理や種類などについて解説します。

3Dスキャナーの原理

3Dスキャナーとは、立体物をスキャニングすることで、3D情報化するシステムのことです。

実際に取り込んだ情報を、3Dプリンターを通じて樹脂や金属等の素材から立体物を製作します。 基本的な原理は、ターゲットの凹凸を読み取り、高さ・横幅・奥行きの座標情報を取得することです。

まず、読み込むターゲットに対して精密なフリンジパターンを投影し、ターゲットの3D形状をハイスピードでデジタル情報へと変換します。 その中でスキャンしにくい部分については、高性能情報修正ソフトを使用し、修正や編集を行うこともあります。 不要箇所を除去したり軽くしたりすることで、使用しやすい情報に変えていくことも可能です。

そして最終的に、3D情報ファイルはSTLデータやその他の3DACで使用できるファイルタイプなどに変換して使用されます。

接触型3Dスキャナー

接触型3Dスキャナーとは、センサーや探針(プローブといいます)などを使用し、ターゲットに接触することで凹凸の座標情報を取得するタイプのスキャナーです。
古くから存在するタイプですが、入り組んだ形状を持った複雑なターゲットでは探針が入り込めず正確に情報を得られないこともあります。
また、測定できるターゲットの大きさに限界がある点や、方式の場合は測定に時間がかかる点にも気をつけなければならないでしょう。

しかし後に紹介する非接触型3Dスキャナーでは、接触型3Dスキャナーで測ることができないターゲットが測定できます。
また、測定の精度も非接触型よりも高いという長所もあります。
製品の測定や検査には接触型の方が適しているため、現在でもよく利用されている方式です。

非接触型3Dスキャナー

非接触型3Dスキャナーは、近年登場したタイプの製品です。
ターゲットに接触せず、読み込むことができます。

スキャン方法には、以下の2つが存在します。

  • 非接触型3Dスキャナーのスキャン方法
  • ● パターン光投影方式
  • ● レーザー光線方式

パターン光投影方式はターゲットにパターンを投影し、凹凸によるパターンの歪みを読み取ってターゲットの距離を測ることで座標を得ます。
一度に広範囲をスキャンできるため、時間がかからず精度の高い情報取得が可能です。

レーザー光線方式は、レーザー光線をターゲットに照射することで凹凸の情報を取得します。
さらに細かい情報取得方式も存在します。

それは三角法方式とタイムオブフライト方式、位相差方式の3種類の方式です。
レーザー光線方式の場合は、ハンディタイプの製品や空間を読み取る方式のスキャナーによく利用されます。

3Dスキャナー導入のメリット

3Dスキャナーには2種類がありますが、いずれを導入するにしても次のようなメリットが期待できます。

メリット1:遠隔地から対象物のデータを取得可能

3Dスキャナーは遠隔地から対象物のデータを取得する用途に広く活用されています。
レーザー光で測定することにより、3Dスキャナーであれば対象物に接触することなくデータを得られるためです。
>そのため人が入れない場所や高所にある対象物のデータも取得でき、建物などのデータを測定しやすくなります。
人では難しい物体を測定しようとしたとき、遠隔地からデータを取得できる3Dスキャナーに大きなメリットが感じられるはずです。

メリット2:広い範囲を測定可能

次のメリットは、広い範囲を測定できることです。
据え置きタイプに限られますが、半径300mから350mまでを一度に測定できるようになります。
建設現場のデータを取得したい場合でも、半径350mもの広範囲を測定できるなら測定のための時間は最小限に抑えられるはずです。
遠隔地から測定できることに加え、広範囲の対象物を測定できる3Dスキャナーは建設・建築の現場で役立つでしょう。

メリット3:あらゆる形状の物の測定が可能

3Dスキャナーは広範囲・遠隔地からの測定を可能にするだけでなく、あらゆる形状の物を測定できます。
通常では測定が難しい複雑な形状の対象物のデータも取得可能で、幅広い用途に活用できるはずです。
たとえば細かな葉をたくさん茂らせている植物などもスキャン可能。
どれほど複雑な形状に対応しているかは機種の性能によります。
しかし複雑な対象物も測定でき、対象物の構造データが取得できることは大きなメリットとなるでしょう。

メリット4:技術・設計のデータ化に便利

すでにある製品の技術や設計をデータにする用途でも3Dスキャナーは役立ちます。
製品の技術や設計をデータ化するリバースエンジニアリングでは、従来の方法であれば実際に製品を分解する方法が採用されていました。 しかし3Dスキャナーがあれば製品を分解する必要もなく、3Dスキャナーでデータを取得できます。
図面がない製品でも正確にデータが取得でき、技術や設計をデータ化する際に役立つのです。

メリット5:製品の不具合チェックに役立つ

最後にご紹介するメリットは、製品の不具合チェックに役立つことです。
製品に何らかの不具合が起きたとき、3Dスキャナーを用いたCADデータと比較をすることで不具合が見つけやすくなります。
実勢に製品を分解して不具合を見つけようとすると、時間と手間がかかります。
しかし3Dスキャナーがあれば製品を分解することなく、CADデータと比較するだけで原因を解明できる可能性が高まります。

3Dスキャナーで3Dデータを取得するまでの流れ

メリットの多い3Dスキャナーで、実際に3Dデータを取得するまでの流れについて順を追って解説します。

STEP1:スキャンしたいものを設置

まずはデータを取得したい対象物を回転テーブルの上に設置しましょう。
回転テーブルとは3Dスキャンのための台座のことです。
回転テーブルが付属している3Dスキャナーもあります。
しかしもし付属していない場合は、専用の自動回転テーブルや回転式ディスプレイスタンドを用意して対象物を乗せてください。

STEP2:ソフトを起動

パソコンからソフトを起動させます。

STEP3:「Scan」のボタンをクリック

ソフトが立ち上がったら「Scan」のボタンをクリックしてください。
仕様はソフトごとに違うでしょうから、利用するソフトの使い方に従ってスキャンを開始するためのボタンをクリックします。

STEP4:対象物を画面に納める

「Scan」のボタンをクリックすると対象物が画面に現れるので、納まるように3Dスキャナーを調整してください。
画面に納めるときのコツは、回転テーブルが回っても対象物が画面から外れないようにすることです。
3Dスキャナーの位置を調整して、画面に納めましょう。

STEP5:設定を調整

次にソフトの設定を調整していきます。
3Dスキャナーと対象物との距離を測定して、距離に応じた設定に変更してください。
設定に関しても利用するソフトにより変わる可能性があるので、それぞれの使い方に従って調整します。

STEP6:スキャン

3Dスキャナーから光が出るので、スキャンが終わるまでそのまま待ちましょう。

STEP7:不要なものを消去

スキャンが終わって対象物が画面に表示されたら、不要なものを削除していきます。
たとえば回転テーブルなど、一緒にスキャンされてしまったものが不要です。
不要なものを消去し終わったら3Dデータの取得は完了となります。

3Dスキャナーの使用用途

それでは具体的に3Dスキャナーはどのような用途で使用されるのでしょうか。
3Dスキャナーの代表的な用途についてご紹介していきます。

用途1:検査や測定

まず完成した製品の検査・測定に頻繁に利用されています。
完成した製品をスキャンし3Dデータを取得すれば、寸法や設計データとの差異を簡単に調べられるようになります。
データ上で差異を比較できるようになるため、製品を直接測定したり検査したりするのと比べ検査・測定作業が効率化されるはずです。

用途2:既存製品の測定・観察・解析

3Dスキャナーは既存製品を測定したり、観察・解析したりする用途でも活用されます。
いわゆるリバースエンジニアリングでの用途です。
一つ前の項目で解説したように、3Dスキャナーを使えば既存製品の立体データを簡単に取得できます。
取得したデータを観察・解析すると設計図や仕様書がない状態でも製品の仕様が確認可能に。
自社製品を復刻させたくても設計図や仕様書が失われたなどの状況で、3Dスキャナーが活躍するでしょう。

用途3:テクスチャデータ化

テクスチャをデータ化する用途で3Dスキャナーが利用されることもあります。
たとえば木目・皮革など立体的な表情を持つテクスチャは、2Dデータでは再現力に欠けるでしょう。
そこで3Dスキャナーを利用して木目・皮革のテクスチャデータを取得すれば、より現実味のあるテクスチャを表現できるようになります。
製品の3Dデータにデータ化されたテクスチャを貼り付ければ、より高度な製品の造形が可能です。

用途4:ひな形を利用したデザイン開発

製品データを取得する機能を利用すれば、ひな形を利用した効率的なデザイン開発もできます。
たとえばすでに完成している製品のマイナーチェンジをする際の活用などが考えられるでしょう。
いちから既存製品と似た造形から始めると工数がかかります。
しかし既存製品のデータを3Dスキャナーで取得し、デザインや寸法のみを変えれば新しいデザイン開発が容易になります。
以上のようにひな形を利用して、新しいデザインを開発したいと考えるときにも役立つのが3Dスキャナーです。

用途5:フィギュアや模型の製作

フィギュアや模型の製作も3Dスキャナーの代表的な用途のひとつ。
よりリアリティのある作品を作ろうと思ったときに、対象物の3Dデータを取得できれば簡単に高品質の作品が作れるようになります。
たとえば人体をスキャンすれば、実在する人物のフィギュアも作成可能。
飛行機や鉄道の模型でも、実物のデータを活用して精細な作品を作り上げられるようになります。
3Dスキャナーはフィギュアや模型の製作を効率的に、高品質にするために欠かせないものです。

3Dスキャナーを選ぶ際のタイプ以外に注意すべきポイント

3Dスキャナ―には接触型、非接触型があり、それぞれに特徴があることがお分かりいただけと思います。
自社に3Dスキャナーを導入する際にはこうしたタイプの違いも1つの判断要素になるかと思いますが、実際に製品を選ぶ際にはこうしたタイプの違い以外にも抑えておくべきポイントがあります。
自社への3Dスキャナーの導入を検討している方で、選び方のポイントも抑えておきたいという方は、コチラの「3Dスキャナーの選び方と知っておくべきポイント」の記事をご覧ください。

3D情報を取得する手段は3Dスキャナーだけではない

ここまでは3Dスキャナーの基本的な性能や種類について解説してきましたが、3Dデータを作成することが出来るのは、3Dスキャンだけではありません。 その他の3Dデータの取得方法・作成方法について詳しく知りたいという方は、コチラの「3Dプリンターのデータの基本的な作成方法」の記事をご覧ください。

3Dスキャナーとは3D情報を取得するスキャナーです

今回は、3Dスキャナーについて解説してきました。
より理解を深める機会となりましたでしょうか?
実際の仕組みを知り上手に扱うことで、様々な分野に活用できるでしょう。

株式会社フュージョンテクノロジーでは、プロ仕様として使用可能な、低価格3Dスキャナー「EinScan」を取り扱っております。

詳しくはコチラのEinScanのページをご覧ください。