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モータースポーツ用エンジンの製造における 3D プリント活用のメリット

自動車業界
INTAMSYS
フォーミュラ 1(F1)などで知られるモーターレースは、世界最速かつ最も高度な技術を要するスポーツであり、特に革新的な製造技術開発において最前線に位置しています。産業用 3D プリンターメーカー INTAMSYS は、モーターレース関連製造企業との共同開発を行うなかで、高度な製造プロセスにも関わり、市場での競争力をさらに高めています。
ニュージーランドの Hartley Engines and Motorsport 社は、モータースポーツ向けおよび小型車メーカー向けに、ハイエンドエンジンおよびその構成部品の設計、開発、製造を行っている有力企業です。ニュージーランドとオーストラリアのモータースポーツ部門では同社の顧客から数多くのチャンピオンが誕生し、ボンネビルでは 1000 cc のミニクラスで複数の地上最速記録を達成し、モータースポーツエンジニアリングの革新性に対して同社は多くの賞を受賞しています。同社の主力エンジンは 10,000 rpm、1,000 馬力以上の V12 エンジンと、高回転の「F1 インスパイア」クアッドカム V8 エンジンです。
同社は以前、ハイレベルな競技に参加するトップチーム用のエンジン製造を主な事業として、その開発のほとんどはごく一部の顧客にのみ秘密裏に行われていましたが、最近になり、他のエンジン開発企業へのエンジンキットの提供や開発の請負を行うようになり、さらには世界中の一般消費者がそれぞれのプロジェクトに使用できるよう、エンジン部品の小売りも開始しました。
「私たちは、すべての競技者のためにエンジンを作ることは実際不可能ですし、そうしたくもないと思っていました。しかし、誰に対しても部品の提供や開発の請負を可能にすることで、すべての人により良いサービスを提供できることに気付いたのです。」と、Hartley Engines のオーナー、ネルソン・ハートレー氏は話します。
Hartley Engines の強みの一つは、製品の設計・開発から生産準備に至るまで、非常に迅速に対応できることです。同社の工場には、5 軸 CNC ミル、CNC 旋盤、エンジンダイナモ、エアフロー試験装置などがあります。最近、彼らは生産部品にアディティブ・マニュファクチャリングを導入し、次のレベルへ進みました。
FUNMAT HT を設置した作業場にてデザインのアイデアを出し合うネルソン・ハートレー氏(右)
ネルソン氏らは、数年前からエンジンに 3D プリントパーツを使用する開発を進めており、テストでは成功していたものの、「生産に耐えうる」レベルまで持っていくのに多くの問題を抱えていました。
「3D プリンティングを活用することで、早くから大きなメリットを感じていました。いくつかのハイエンドポリマーの材料特性は非常に印象的で、当社のインテークマニホールドやインダクションパーツといった部品に最適なのです。」
デザイナーでありエンジニアでもある彼らは、ビレットパーツや炭素複合材パーツと一緒に 3D プリントパーツを使うという、ネルソンが言うところの「ハイブリッド製造法」という新しい方法を見出しました。

COVID のパンデミックにより社内での生産に影響が出る中、Hartley Engines and Motorsport 社はインテークに使用されているスロットルボディの再設計を行いました。スロットルボディはアルミビレット製で自社で加工していますが、インテークランナーやトランペットは 3D プリンターで製作しています。

「インテークランナーに使用している素材は、高耐熱性ナイロン(PA)に 25% の炭素繊維(CF)を用いたもので、PA-CF の温度特性はアルミニウムを凌駕しています。熱がゆっくりと伝わるので吸気経路が低温に保たれます。その低温の空気がエンジンに入ると、燃焼しやすいのです。」

「ランナーやトランペットを 3D プリントすることには、設計の自由度が高いという利点もあります。私たちはインテークの形状を非常に重要視しており、単に板を丸い穴に加工したものではなく、CAD を用いてシリンダーヘッドを設計し、その CAD モデルと一致する非常に複雑なカーブや形状を 3D プリントすることができます。」

INTAMSYS FUNMAT HT の導入前、Hartley Engines 社における高耐熱性ポリマーの 3D プリント成功率は 15 〜 20% 程度でした。

「私たちは 3D プリントに多くの無駄を抱えていました。プラスチックは 1 kg あたり 500 ドル以上するものもあり(さらにニュージーランドへの輸送費もかかります)、パーツを 3D プリントすることが事業として成り立たないところまで来ていました。成功することは分かっていましたが、毎回うまくいくわけではなかったのです。」
「最初に INTAMSYS FUNMAT HT を導入して以来、プリントの成功率は 95% です。業界の多くの人に、3D プリンターでパーツを生産するのは無理だと言われましたが、INTAMSYS はそれが間違っていることを証明してくれました!」

Hartley Engines 社は 1 台目の INTAMSYS FUNMAT HT を導入後、2 台目も購入しました。現在、同社工場にアディティブ・マニュファクチャリングの専門部署を構築中で、準備が整い次第、さらに 2 〜 4 台の INTAMSYS FUNMAT HT を導入する予定です。

Hartley Engines and Motorsport 社は、事業の拡大に伴い、部品をできるだけ早く市場に投入するという問題に常々直面しています。同社が作るものはすべてユニークなものであり、問題解決のためには新しいアプローチを必要としています。

「3D プリンターがすべての CNC 装置を置き換えると言うのは嘘になりますが、同様に、当社が導入した INTAMSYS FUNMAT HT のようなコスト効率の良い 3D プリンターで製品の生産ができないと言うのは短絡的と言えるでしょう。」

「INTAMSYS FUNMAT HT は、5 軸の CNC マシンの 30 分の 1 のコストで、消費者にとって価値のある製品を作ることを可能にしました。ですから、たとえパーツ 1 個あたりの時間が 3D プリンターを用いることでかなり遅くなっても、バッチ作業で複数のプリンターを同時に稼働させる余裕ができ、実際に CNC マシンをセットアップするよりも効率が良くなるケースもあります。投資対効果が非常に高いのです!」

従来の生産方式で仕事をしてきた方なら誰でもご存知の通り、セットアップとツーリングにはコストも時間もかかります。

「以前は 1 つのパーツの加工や製作を行うために、何時間もかけて機械をセットアップし、ツーリングを行っていました。今は INTAMSYS FUNMAT HT を温めて、スタートボタンを押すだけです。工具もセットアップも必要ありません。」

3D プリントパーツは、主にインテークマニホールドのエアホーンやランナーに使用される
3D プリントはターボエンジン用プレナムの製造にも活用されています。下の左側の写真は、そのパーツ用に、はじめにいくつかに分割して 3D プリントを行い、それらを組み立てて、表面全体を丁寧に研磨したものです。右側の写真は、炭素繊維を組み合わせて硬化処理を行った後の最終的な高性能製品です。
ターボエンジン用プレナム

NTAMSYS FUNMAT HT 使用後、Hartley Engines and Motorsport 社はプリントパーツが非常に良いものになることはすでに確信していましたが、その性能に驚いたと述べています。ネルソン氏は、「高耐熱性パーツの品質は素晴らしく、それらの販売のため生産を開始したところです。3 〜 4 年ほど前から開発を進めてきましたが、INTAMSYS FUNMAT HT を導入してからは、それまで抱えていた問題の 99% を解決することができました。」と語りました。パーツを分割してのプリントと組み立てによりサイズのバリエーションが増え、さらに速く生産できるようになったことで、今後は Hartley Engines and Motorsport 社が設計を行っている多くのインテークマニホールドとプレナムを、彼らが編み出したこの新しいリーン生産方式で生産していくことになります。

INTAMSYS について

アディティブ・マニュファクチャリングがもたらす無限の可能性によって、INTAMSYS のオールインワン 3D プリンティングソリューションは一人ひとりに合った未来の生活を創造していきます。INTAMSYS 3Dプリンターは最も要求の厳しい工業規格を満たしており、自動車、航空宇宙、石油・ガス、医療、治具・取付具、さらには教育など、さまざまな業界における用途に最適化されています。

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