3Dプリンター3Dプリンタでのオーバーハングを防ぐための対策法とコツ
3Dプリンタの導入を検討している方、3Dプリンタの使い方を知りたい方に向けて、オーバーハングへの対策法を解説する記事です。
3Dプリンタで造形物を作ろうとしても、さまざまな理由で失敗してしまうこともあるでしょう。
失敗のひとつに「オーバーハング」があります。
スライサソフトでサポートをオンにしていても、なぜかうまくいかずに造形物が崩れてしまうこともあります。
オーバーハングへの対策をスライサソフト任せにするのではなく、ご自身でできるようになると成功率は高まるはず。
そこで今回の記事では、3Dプリンタでのオーバーハング対策法と、オーバーハングしない造形のコツについて解説します。
記事を読んでいただければ、オーバーハングしそうな造形物でも失敗することなく完成させられるようになるでしょう。
もくじ
オーバーハングとは?
「オーバーハング」とは建築用語で「2階のせり出し部分」のことを指します。
3Dプリンタにおける「オーバーハング」も同じ意味で、造形物のうち宙に浮いている部分を指す言葉です。
たとえば家の造形物を作成するとして、建物と接していない屋根のせり出し部分はオーバーハング部分となります。
「T」の方に近い造形物を作成する際に、横になって縦方向からはみ出している部分にオーバーハングが起こりやすいはずです。
宙に浮いている部分は支持力が弱く、造形が完成したときに崩れたり垂れたりする可能性が高いため注意が必要です。
一般的にせり出した部分が45℃以上の角度になるとオーバーハングが起こると言われています。
以上のように建築用語の「2階のせり出し部分」であるオーバーハングは、3Dプリンタにおいても同様の意味で使われます。
オーバーハングの対策
それでは3Dプリンタでオーバーハングする可能性がある造形物を製作する際には、どのように対策するべきか見ていきましょう。
基本となるのは「土台の設置」と「造形物の向きの回転」の2種類の対策法です。
対策法1:土台の設置
オーバーハングへのひとつめの対策法は、土台を設置することです。
造形物の中で、宙に浮いている部分に対して土台を設置してやることで強度を高めます。
オーバーハングの問題は、宙に浮いている支持力の弱い部分があるということです。
つまり宙に浮かない状態にすれば支持力が高まり、造形の際に崩れてしまうことを防げます。
設置した土台は造形が完成した後に、取り除けば本来の形で完成させられるはずです。
土台にはポリサポートや水溶性サポートを使えば、完成した後に除去しやすくなります。
ただしオーバーハング部分が細い場合、土台を取り除く際に造形物が折れてしまうことも少なくありません。
そのため土台を使用したとしても、土台を除去する際に細心の注意を払うことが必要です。
土台の除去に少しの工夫は必要となりますが、強度の足りない部分を補うように、土台を設置することがオーバーハングへの基本的な対策法となります。
対策法2:造形物の向きを変更
造形物の向きを変更してオーバーハングに対策する方法もあります。
本来の形で宙に浮いてしまう部分があるなら、造形物の向きを変更させ、宙に浮く部分をなくせば良いという考え方です。
たとえば家の造形物を作る際に、屋根の部分がせり出してしまうなら屋根を下に向けて造形すれば問題がなくなります。
オーバーハングへの対策として45℃傾けると、崩れることなく造形できると言われています。
せり出した部分が地につくように造形できれば、造形物が崩れたり垂れたりしてしまうこともないでしょう。
45℃回転させるように傾けてオーバーハングがなくなるのであれば、造形物の向きを変更させることで対策することもおすすめです。
より安定性が増すように造形物の角度を変えられれば、オーバーハングをする可能性は低くなります。
オーバーハングが生じそうな場合は、造形物の向きを変更させることもひとつの方法でしょう。
オーバーハングしないように造形するコツ
3Dプリンタにおけるオーバーハングには対策法がありますが、次のようにオーバーハングしないように造形することも必要です。
オーバーハングしそうだと思われる形状の造形物を作成する際には、次の2つのコツを実践して、オーバーハングを防げるよう造形しましょう。
コツ1:押出幅を増加
オーバーハングしないように造形するためには、押出幅を増やして造形することがひとつめのコツです。
押出幅を増やせば、より安定した出力が行えるようになります。
押出幅を増やすためにはスライスソフトの設定を変更してみましょう。
0.1mmだけ押出幅を増やした場合でも、出力された造形物の完成度は高まります。
オーバーハングしそうな造形物を作成する際には、スライスソフトで押出幅を増やして造形してみてください。
コツ2:積層ピッチの増加
積層ピッチを増すこともオーバーハングしないよう造形するためのコツです。
オーバーハングを防ぐためには、土台となる部分の造形の安定性を増すことがポイントとなります。
積層ピッチを厚くすると3Dプリンタでの造形時に崩れにくく、オーバーハングを防ぐという点において有効です。
積層ピッチはノズルの径により調整する必要がありますが、一般的に厚くなればなるほど安定性は増し、オーバーハングしにくくなります。
オーバーハングを避けるためには、積層ピッチを増やして安定性を増すことがポイントのひとつです。
オーバーハング以外の不良
ここまではオーバーハングにフォーカスして解説してきましたが、3Dプリンタを使用しているとそれ以外にも多くの加工不良に遭遇することがあります。
コチラの記事では、そんな3Dプリンターで起こりがちな不良について解説しておりますので、是非ご覧ください。
オーバーハングの特性を理解しましょう
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで3Dプリンタにおけるオーバーハングがご理解いただけたと思います。
3Dプリンタで造形物を制作するには、オーバーハングした造形物と3Dプリンタの特性を理解しながら製作にあたることが重要です。
フュージョンテクノロジーでは、高性能機種やリーズナブルなものまで、さまざまな3Dプリンターをご用意しています。
3Dプリンターについてのご相談はぜひ株式会社フュージョンテクノロジーまでお寄せください。