プリンター材料INTAMSYSフィラメントの特性について
3Dプリント技術は従来の生産方法と異なる点が多く、これまで多くの生産現場で革新的な手法を生み出してきました。
将来的には従来の技術に代わるとの意見も耳にする機会が増えてきましたが、実際のところはどうでしょうか。
現状で技術面の開発も比較的成熟してきてはいますが、印刷材料と速度など課題も数多く残っており、各メーカーでは日々研究が進められています。
業界大手メーカーの報告によると、現在3Dプリントに使用できる材料は200種類以上。しかし、DDM※の観点から見ると、実際に製品を作成する上での制約が多く、材料・組み合わせも複雑になるため、実質的に使用できる材料は限られているのが現状です。
※ダイレクト・デジタル・マニュファクチュアリング
3Dプリンターを試作用途ではなく、最終製品や部品の一部、治具/工具の作成に使用するという概念。
INTAMSYS社は常にお客様の要望を参考に、革新的な積層造形ソリューションの提供に尽力。工業用FFF造形方式の3Dプリンターにおいて業界を先導しています。
同社が販売する工業用3Dプリンター『FUNMAT』シリーズは、長期にわたる市場検証を経て、高機能材料印刷の分野で広く知られるベンチマーク製品となっているとともに、様々な高性能材料を発売しています(INTAM™シリーズ)。
もくじ
PEEK ポリエーテルエーテルケトン
ポリエーテルエーテルケトンは最も性能の良いプラスチックの一つです。
優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を備えているため、強度要求の厳しい用途に選ばれている材料です。
- ・優れた機械的特性、耐高温性(アニール後は260℃での連続使用が可能)
- ・優れた耐薬品性、耐スチーム性、耐加水分解性
- ・難燃性 UL94-V0
- ・自己潤滑性
- ・耐放射線性
PEEK-CF
PEEK+CF10は、FFF方式の3D印刷で使用される主要な樹脂の一つです。
短くカットされた高弾性カーボンファイバーを10％混合することで、優れた剛性、強度、寸法安定性を実現しています。PEEKと同じく、自動車、航空宇宙、半導体、天然ガスなど、要求の厳しい分野で使用されています。
- ・炭素繊維強化による引張強度の向上
- ・PEEKと比べて反りにくく、寸法安定性に優れる
- ・航空宇宙、医療分野での認可が不充分
- ・熱安定性が向上した半面、脆性も増した
- ・炭素繊維の混合により印刷ヘッドの摩耗が早くなる
PEEK-GF
GF10繊維強化PEEKは、PEEKに比べて機械的特性、耐熱性、耐薬品性に優れ、反りも起きにくいため寸法安定性が向上しています。
- ・ガラス繊維強化による引張強度と熱安定性の向上
- ・靭性と耐磨耗性の向上
- ・優れた機械的特性、油・ガス・水中での電気絶縁性
PEKK
PEKKは、Arkema Kepstan® PEKKから作られています。
PEKKは、優れた機械的特性、耐熱性、耐薬品性を持ち、PEEKより癖が少ないため印刷がしやすくなっています。
- ・PEEKに近い機械的特性を持ち、金属の代替素材としても使用可能
- ・アニール後は260℃の環境下で使用可能
- ・無菌であり、医療用途に使用できる ※別途医療用途の基準をクリアする必要あり
- ・PEEKよりも結晶化温度度が低く、3Dプリンター内の温度が調整しやすい
- ・結晶化時間が長く、層間結合が強い
PEI 9085
PEI 9085は、Sabic社のULTEM™ 9085樹脂から作られており、FAA(アメリカ連邦航空局)が定めた難燃性／煙／毒性の基準の認可をクリアした安全基準に優れる材料です。優れた熱特性、寸法安定性、難燃性、耐薬品性を兼ね備えています。
- ・優秀な耐薬品性、PEI 1010より優れた耐衝撃強度を持つ
- ・難燃性に優れる
- ・驚異的な強度重量比（一部のアルミニウムと比較）
- ・高温または氷点下でも高い性能を発揮
- ・FST認証、航空宇宙NCAMP認証、防火認証取得済み
- ・ULTEM™ 1010より印刷しやすく、汎用性が高い
- ・160℃までの高温に対応
PEI 1010
PEI 1010は、 Sabic社のULTEM 1010(ポリエーテルイミド)樹脂から作られています。PEI 9085よりも熱変形温度が高く、215℃まで対応可能です。優れた熱特性、寸法安定性、難燃性、耐薬品性を備えた非晶質の高機能樹脂です。
- ・Ultem 9085より剛性が高い
- ・耐薬品性に優れる
- ・難燃性に優れる
- ・200°C前後での使用が可能
- ・ミックスレイヤー処理に理想的
PPSU ポリフェニルサルホン
PPSUは、最も高性能なプラスチックの1つと認められています。非晶質樹脂であり、優れた耐熱性と耐薬品性を持ちます。自動車、航空宇宙、電子、防衛装備、工業、医療、半導体などの要求の厳しい用途に理想的な材料となります。
- ・加水分解しにくく、一般的な酸や塩基に耐性がある
- ・PEIよりも耐薬品性、耐衝撃性に優れる
- ・高温環境下でも耐衝撃性が低下しにくい
- ・ガンマ線に強く、滅菌消毒が可能
- ・180℃の高温で使用可能
- ・滅菌後はFDA規格の食品ランクの材料として使用可能
PPS ポリフェニレンサルファイド
PPS（ポリフェニレンサルファイド）は、優れた耐薬品性、機械特性、熱特性を持つ高機能樹脂です。200℃でもほとんどの溶媒に完全に不溶となります。また、難燃性、自己消火性を有しており、電気・電子用途に最適な材料です。
- ・200°C～240°Cでの長期使用が可能(溶融温度285°C)
- ・高温下でも強度と弾性に優れる
- ・耐薬品性あり。200°C以下の各種溶媒に不溶
- ・長期的に安定した加水分解耐性があり、吸湿性も低い
- ・難燃性で自己消火性を持つ
- ・広い温度範囲にわたって安定した誘電率
- ・硬くて脆く、自己潤滑性がある
さらに、INTAMSYSはPLA、ABS、PC、PAなど、一般的な3Dプリンター用フィラメントも提供しています。INTAMフィラメントは、FUNMATシリーズの3Dプリンター、最適化されたスライスソフトウェアと共にお客様に確かな3Dプリント体験をご提案いたします。
また、多数のパートナー企業様と連携し、材料のカスタマイズ開発や技術協力も行っています。
